2006年5月18日木曜日

Agile Development 2006 年春号

Agile Development 2006 年春号が出たので, 読んでみよう.


事例研究は 3 件. ひとつは BT (British Telecom, 日本で言えば NTT ですな). BT は業務/IT 分野でアジャイルへのシフトを行っている最中らしく, その中で EAI (Enterprise Application Integration) をやっているチームのアジャイル化の報告 ("Cooking up some Agile Planning"). もう一つはシーメンスで, Scrum と TOC (制約理論, 「ザ・ゴール」で有名な) を合体させたもの ("Agile gets Lean"). これは面白いかも. もっと詳しい話を聞いてみたい. どちらも超大手ですよね. やるところはちゃんとやってると.


"Checks and Balances" はアジャイル・プロセスにおける QA (品質保証) 部隊の役割について. 日本では QA というと一部の会社には「他に行き場所のない人のための部署」みたいなところもあるけれど, 本当にそれでいいの? Action Based Testing (ABT) というのがちょっと気になりますね.


"Take the XP Plunge!" (XP へダイビング!) を書いているのは Kent Beck と Cynthia Andres ("XP explained" 第2版の共著者). 「もう, もたもたしてないでやっちゃいなよ. 水は入っちゃえば気持ちいいよー」という記事です. 救命胴衣は



  • XP Explained 第2版を読むこと (笑)


  • 自分の学んだことをみんなと分かち合うこと


  • みんなの前で「やる!」と言いきっちゃうこと


  • どう変えるか, 計画を立てること


だそうです.


"Informed Consent" はアジャイルのための組織形態とは何かという記事. 今までの組織形態はアジャイル・プロセスとは合わない. "sociocratic" な組織 (すべての人が利益を受け取れるような組織) が重要だって. 「組織」はこれからとても重要な問題になるでしょう.


書評は "Behind Closed Doors" (「閉じられた扉の向こう側で」) と "Agile Estimating and Planning" (「アジャイルな見積もりと計画」). "Agile Estimating and Planning" はさっそく発注しちまいましたよ...


記事はどれも短め (平均 3 ページ程度) で, 物足りない感もあるんだけど, 論点は割と鋭い. Agile Alliance のメンバ ($100/年) になると読めます. 何ヶ月かすると非メンバにも公開されるらしい.