2013年4月11日木曜日

ポスト3.11音楽としての 5TH DIMENSION/ももいろクローバーZ

ももいろクローバーZにとって, 4.10はもちろんとても大切な日なのだが (それとダブる形で), 「ポスト3.11」こそが彼女たち (の世代) にとっての重要なテーマであり続けている.

一聴すると「自己啓発」的な歌詞 (成馬零一/STUDIO VOICE) とも思えるかも知れないけど, 多分そういうことじゃない. もっと社会的 (コミューン的/星的) な, 黙示録的なことだ. 彼女たちがスタッフからどう話を聞かされているかは分からないが, 制作側のスタッフよりも多分彼女たち自身が分かっているんじゃないかな.

旧曲は措いておいて, アルバム新規収録曲からキーとなるフレーズを曲順にひとつずつ挙げてみよう.

災いさえ地球の教え だけど
僕たちはもう 意識を浄め
手と手をつなぎ 生きていける (Neo STARGATE)

星が一つ壊れちまった
そんなことに誰がしたんだ
ヒトのしわざ そんなのイヤだ
ディストピアにはしたくない
......
瓦礫の中からマシンをつくった
きみのそばへ まっすぐに旅するココロ (仮想ディストピア)

いつも 君がくれてばかりの
ファイティングパワー
けれど 闘い終えたら 返しにいくよ (5 The POWER)

僕らの明日はまだかよ
僕らの明日はまだだよ (月と銀紙飛行船)

ロクでもない世界で生まれ
生きている ガマンしている
そんなんじゃなくて
悪くない感じの…進化の途中 (BIRTH O BIRTH)

生き抜くための脱太陽 人生 一度
......
Memento mori mori mori mori mori mori
生きよう (上球物語)

(memento moriとは「死を思え」というラテン語の警句, ある意味では祈りである)

百光年の 未来へと レールはあとに できてゆく
夢のまた夢 その先へ 子々孫々従えて (宙飛ぶ! お座敷列車)

みんながテーマを持ち寄った世界で
もし音が消えても
ここが好きだよと伝えられるはず
また まちがっても (灰とダイヤモンド)

彼女たちがどんな世界に生きていて, その世界でどうしようとしているか, 何をもがいているのか. 相変わらずいっぱいいっぱいの, しかしいくぶん内側へと落ち始めた彼女たちの歌声から, 私たちにも微かに感じ取れる気がする.

もはや「一生懸命」「全力」というだけの個人的な物語ではないのだ. 津波と核施設の崩壊から2年経った世界, それ以前とはすでに異なってしまった世界に生きている子供たちが歌う唄.

5TH DIMENSIONは, 3.11当時に中高生だった世代からの, 代表的で重要な表現の一つになるだろう.