2008年10月16日木曜日

MagicDraw goes wrong?

2001年のversion 4の頃からMagicDrawというUMLモデリング・ツールを使い続けてきた. 最初はProfessionalバージョンが$568と大変安かった (その頃は何十万円かするRational Roseくらいしかなかったのだ). シンプルだけど, UMLメタモデルがよく見通せるような, 使い勝手の悪くないツールだった.


それ以来, 毎年保守料という名目で$159とか, $319とかずつ払ってきている. ライセンス内容も少しずつあがってきた. いや, 自分でアップグレードしたのもあるんだけど (SysMLとかフローティング・ライセンスとか), 向こうから勝手におまけしてくれたライセンス(Rational Requsite Pro用アダプタとか) もあるのだ. そんなの僕は使わないのだけど, まぁ保守料も取らないし, それならまぁいいわけですよ.


(SysMLも最初は無償で付いてたんだけどなぁ. そういえばEnterpriseへのアップグレードも向こうからのオファーだったような...)


しかし! 今年は保守料がやけに高い! 向こうが勝手に付けてきたおまけにまで保守料を掛けて来て, $617ですよっ. 最初のバージョンの値段より高いではないですかっ.


いやぁ悪くなかったんだけどなぁ, MagicDraw. UIもよくなってきたし (ちょっと重くなっちゃったけど). でもこの世知辛い世の中, こんなお金は払えないよなぁ. 仕方ないから今年中にある (はずの) version 16へのアップデートを最後に, 保守料の支払いは打ち止めとしますか... もちろん保守はなくても, 使い続けますけどね (しばらくはプラットホームが変わることも, UMLの仕様が大幅に変わることもないでしょう).



ArchiMate

最近, と言ってもこの何年か, ビジネス・モデリングやエンタプライズ・アーキテクチャにも関心が寄せられるようになって, ビジネス・モデルやエンタプライズ・アーキテクチャをどういう表記で描くかもあちこちでお賑やかだ.


UMLでいいんじゃねえかと言うのも居るし, BPELだのBPMNだのというのもあるし, EA側から言うとTOGAF (これはどちらかというと表記法というよりはプロセスだ) やDoDAFなどもある.


というところに, 最近ArchiMateという表記法を見つけて, これがなかなか軽量で悪くないような気がするんだけれど, どうだろう. ArchiMateは, 明確な表記法を持たないTOGAFと仲が良さそうだ.


OmniGraffleやVisio用のステンシルがある.



SPEM 2.0

SPEMとはSoftware Process Engineering Metamodelで, 「すぺむ」とか「えすぺむ」とか読むのかな. 要はソフトウェア開発プロセスそのものをUML (拡張) で表記するためのOMG標準だ. 2002年に1.0が出ている. その頃は日本ではあまり使われていなかったけど, ソフトウェア開発プロジェクトを担当したり, コンサルしたりすると, プロジェクトごとに, あるいは会社ごとにプロジェクト経営やプロセスが異なるから, それを表したり, 改良したり, 提案したりするのに, 便利だった. 仕様が100ページ足らずで, まぁプロセスという分かりにくいものを表すのだから, わかりにくい部分もないわけではないけど, それなりに理解しやすいものであった.


ところが今年2008年の4月にSPEM2.0が出た. これが一挙に200ページを超えた. しかも非常に細かい話になっている. ぺらっと見て分かる, という具合には行かない.


実はSPEM2.0はEPF (Eclipse Process Framework) というプロセス・ツールのベースになっているのだな. なのでSPEM2.0はEPFを頭に置いて読まないといけない. ツールが先にあって, それで使うための (メタ) モデルなのである. これがいいことかどうか, よく分からんが, まぁメタモデルだけが定義されていて, 誰も使っていない, ツールもないと言うのよりはましなのかもしれない. 「モデルは動くべき」なのだから.


# それはそれとして, EPF, MacOSXでも動くようにして欲しいんですがね.



NoteShare

その昔, NeXTStep上で動くキラー・アプリケーションの一つにMillennium SoftwareのNoteBookがあった. 開発用のツール (もちろんInterface Builder!) やNeXTStepに付属するアプリケーション (Mail, Librarian, Editなど) を除けば, LotusのImprov (多次元スプレッド・シートと言えばいいのか?), LightHouse DesignのDiagram! (OmniGraffleやVisioの祖先だ) とこのNoteBookがNeXTStepの上で生活するのに欠かせないソフトウェアだった. 逆に言えばこいつらのおかげで僕らはNeXTStep以外の環境では生きていけない身体 (頭) になってしまったのだ. 今から十数年前 (NoteBookが発表されたのは1993年のことだ) に, 僕らはもしかしたら今の計算機環境とさほど変わらないくらいの (いや, 今のOfficeよりは完全に勝っている!) すごい知的生産性を上げていた.


NeXTStepはその後, MacOSXになり, NoteBookはAquaMindsのNoteTakerとCircus PoniesのNoteBookに分裂した. たぶんどちらも同じNeXTStep/AppKitのコード・ベースを引き継いでいる. どういういきさつがあったかは知らないけれど, Millenniumを経営していたScott LoveとJason Adams (その前はNeXTの従業員だった. NeXTはシリコンバレーで人材の供給元で, ex-NeXT clubという元NeXT従業員のコミュニティもあった) がそれぞれAquaMindsとCircus Poniesを立ち上げたのだった. そして僕は今も毎日NoteTakerを使い続けている. NoteBookではなく, NoteTakerを選んだ理由はNoteTakerの方が早く日本語が使えるようになったとか, そういう単純な理由だったろう.


NoteTakerは基本的にはマルチ・ページのアウトライナだ. どんなファイルやデータでも放り込める. 索引を勝手に作ってくれる. タグを付けられる. Webにパブリッシュすることもできる. こういうだけだとたいした機能はないように思えるかもしれないけれど, シンプルなものこそ道具として使いやすいし, 十数年にわたって作り込まれてきた使い勝手もよい. 僕はこれで1995年以来のライフ・ログを取っているし, マニュアルや仕様書, 技術資料のほとんどをこれで作っていた時代もある. ま, 使ってみなはれ.


そのNoteTakerが最近, また進化の階段をひとつ上った. NoteShareという分散共有の技術を実現した. NoteShare Serverを立ち上げてノートブックをそこに置いておけば, ネットワーク経由でみんなでノートブックを編集できるのだ. MacOSX以外のプラットホームからはWebブラウザ上のJava Appletビューアがある (今のところは編集はできない). これは面白い. こういうことは昔からみんな考えていたわけだけど, 実際にはあまりうまく動かないものも多かった. NoteShareはよく動いている. 今ならたったの$50だ. NoteTakerとセットで$100.


で, 言いたいことは何かというとNoteShare Server (NoteShareも同じ) は些細なバグのため, 日本語環境ではうまく動かないと言うことだ. NoteShare Serverを動かしたい場合はNoteShare Server.appを右クリック, 「パッケージの内容を表示」して, Contents/Resources/Japanese.lprojを捨てるか, 名前を変えるかしてくれ給え. メニューなどは英語表示になってしまうけど, 日本語の読み書きはできるし, サーバとして使う分にはほとんど関係ない. いや, 実はそこまでしなくてもどれかのnibファイルのメニューのアクションがnullになっているとか言う話なので, それを直せばいいのだが, どれを直せばいいのか, nibの中を探すのは面倒なので:-) Aquamindsには言ってあるから, 次のバージョンではたぶん治るだろう.


Webで探しても日本語でNoteShareについて書いているものがあまりに少ないので書いてみた. 日本ではこういうイノベーティブな技術はみんなあまり必要としないのだろうか?